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| 天切り松 闇がたり〈第3巻〉初湯千両
(
浅田 次郎
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「天切り松」も3巻目ですが、最後に一家の大親分にあたる仕立て屋銀次が初めてきちんと台詞を喋る登場人物として描かれます。銀次と安吉の闇語りでの会話に思わず鼻の奥がつーんと・・・・・。<P> 1巻で目細一家に預けられてからの松の成長が、ここにきてぐっと目立ってきて、松のキャラもずいぶんしっかりしてきます。(もちろん大正当時の語りの中での松ですよ)そのあたりが1、2巻と比べて3巻の特徴といえるかもしれません。<P> それにしても、優れた悪党ってぇのは魔法使いみたいですなぁ。ある意味卑怯なさげなんでしょうけどあまりにも鮮やかに決めてくれるのでかえってスカッとします。 浅田次郎の作品の中でもこのシリーズは私の一番のお気に入りです。もったいなくて少しずつ読もうと思っていましたが、やっぱり一気に読破してしまいました。安吉親分はじめ、5人の子分達の粋で人情に厚い姿が生き生きと描かれていました。第一巻の銀次大親分と安吉親分のいきさつをこの第三巻でしっかりおさめて終いにするあたりやっぱり憎いですね。またまた泣かされてしまいました。
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