日本的教育を受けた偉人、李登輝氏による『武士道』の解説書。第2部での現代的に噛み砕かれた解説も去ることながら、第1部での天下為公の信念を持つ李登輝氏のエピソード、新渡戸稲造氏の人生に関する部分も非常に興味深い。意識の高い人生を送ってきた氏によるメッセージは説得力があり、読んでいると圧倒されるものがあるが、日本精神の深い部分について、我々はあまりに無知な部分がある、ということを理解する良い機会だとも思う。海外へ行く前には必読だが、海外を見た後、自国を振り返るときにも是非読んでみたい著作。
武士道とは成文法ではない。「むしろそれは語られず、書かれざる掟、心の肉碑に録されたる律法たることが多い。不言不文であるだけ、実行によって一層力強き効力を認められているのである」。今の日本のnoblesseが如何に腐敗していようとも、自分は常に襟を正して生きていきたい、そう思っている方必読の一冊です。心の拠り所になりますよ。
一人でも多くの日本人に読んでほしい。日本人がかつて当たり前のように共有していた価値観はいかに素晴らしいものであって、海外での評価も非常に高かった。もちろんそうで無い部分も数多く存在しているが、全体的に見れば一本の筋が通っており、そこには魂、つまり「武士道」という存在があった。武士道は武士という存在にだけでなく全ての人に普遍的に当てはまる考え方であると著者の意見に、大きく賛成できる。<BR> 著者ほど深い知識と高い精神をもった人は他にも皆無だと言っても過言ではないだろう。その著者が確固たる信念の上に日本を愛し、それゆえに今の日本に怒りを覚え、見るに見かねて世に送り出した日本人にとってアイデンティティーを取り戻す最高の書であると思う。<P> かなり骨太の内容だ!が、日本人としては知らなくてはいけないこと、また考えなくてはいけないことがぎっしり詰まった作品である。