著者は戦場に行く前に終戦を迎えた陸士であった。戦場での体験談はないが、当時の国状、並びに戦前戦後の近代史の流れについて丁寧に説明されている。中学、高校でも時間がないことを理由に近代史が教えられていないと聞くが、碌でもない大多数の歴史教科書を使わずに、本書を使って先ずは近代史から学ぶべきだろう。<P>我が国の先人達は1853年の黒舟来航以来、世界の列強の脅威に曝されながら必死になって近代化を進めてきた。日清、日露戦争も北方からの脅威が故に開戦したのであり、自衛のための戦争であった。確かに大正から昭和初期には軍部の暴走があり、文民統制が利かなかった反省点は大いにあるものの、大東亜戦争自体も米国に開戦を余儀なくされた自衛のための戦争だったのである。群集心理とは恐!ろしいもので負け戦になるまでは国民全体で勝利を願い、軍人に対する敬意を表していたものが、敗戦と同時に掌を反したように国家や軍人に対する憎悪に変わったのである。さらには米国による占領政策と共産勢力の台頭の後押しで国民全体が「日本=悪」と洗脳されてしまった感がある。我が国の先人達が必死に築きあげてきた国体が、たった一度の敗戦で今のような無様な国家に落ちぶれるとは本当に情けない。哲学、思想を備えず、自由に酔いしれ、自分のことしか考えない薄情な輩が街中を闊歩する。いい加減「世の中おかしくなっている」と多くの国民が気づき始めた感があるが、近代史を紐解けば“敗戦”と“世の中おかしくなっている”の因果関係がだんだん見えてくるだろう。本書はその近代史を学ぶにあたり、最良の入門書と言える。<BR>ただ、本文中に我が国が先の対戦で無条件降伏をしたが如き記述があり、多くの国民もそう思っている節があるが、我が国はポツダム宣言を受諾し、国体護持を条件に陸海軍を無条件に武装解除したに過ぎない。それを無視する占領政策を行ったのは米国の陰謀であろう。
本書の構成はお孫さんからの質問に著者の中条さんが答えるかたちで進んでいきます。<BR>著者の歴史観は、ところどころ司馬遼太郎と一緒だな、で第二次大戦にいたる道筋や理由の箇所は、なるほどそんなことがあったのかー、となりました。<P>本書は難しい漢字も使われていないし、お孫さんに宛てた手紙でもあるのですぐに読めます。分厚い歴史書やあまり面白くない参考書でお悩みの方ならかっこうの書ではないでしょうか?<BR>気楽にオススメしているみたいですが、本書の中身はハードです。
第二次世界大戦の日本の行動をただ悪としてとらえるのではなく、戦時下の人間の視点に立って、その時どう感じて、どのように行動したかが大変良くわかる著作。<BR>事実羅列の歴史書とは一線を画し、当時の人間の生きた感想が述べられており、避けることができなかった戦時下をどう生き抜こうとしたのかがリアルに描かれている。<P>第二次大戦を生き抜いた世代が消えゆく中で、次世代へ語り継がれるべき新しい必読現代史。