最後までわくわく・どきどき、春樹作品らしく長編にもかかわらず一気に読めてしまう。オススメ。
今まで私が読んできた本の中でこれほどに結末がよかった本はない。再読させるような要素を持っている。最初は二つの本に分けた方が良かったのではないかと思ったが、下巻に入って全てが一本につながり、これまでにない歓びを感じさせてくれた。<P> さて、余命があと24時間しかなかったならば、何をするだろうか。思いっきり遊ぶか、それとも、あえて抵抗をやめて静かにすごすか。「僕の生きる道」にも共通要素がある。あのように生き方が変わるかは分からないが、「異邦人」のムルソーと共に、かっこいい生き方のスタイルの教科書だと私は感じた。
同時進行する二つの物語、「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」、静と動の反対の世界。<BR>どんよりとした雲がたちこめる屋外を見ながら、ベッドの上でこの小説を読んでいたことを思い出す。「世界の終わり」の情景や匂い、ツ~ンとした空気の冷たさがダブってみえる程。<P>今から思い出すとまるで、夢の中で実際起こった出来事のようなリアルさを感じさせてくれる。村上春樹の作品の中では一番、フィクションの要素が強い作品だが、私にとっては、一番リアルな作品です。