ところどころには残酷な描写があり、<BR>また、バーチャルな世界にいきなり飛んでしまうという<BR>いきなりの展開もあり、<BR>空想的な村上さんの世界が展開されます。<P>この作品は、今までの作品の中でも、<BR>次への展開の期待感が最も高い作品でした。<BR>主人公が奥さんを取り戻すという、<BR>明快な筋があるからかもしれません。
長く,複雑な物語。しかし,筆者の他<BR>の作品とは違い「妻を取り返す」という明確な目的が<BR>あるのでその分,読み進めるのが楽しい。<BR>そして,心に深く生きつづける作品である。<P>占い師に会ったり,バットを手にしたり<BR>RPGをしているような気持ちになる。<P>テーマの見解はいろいろ分かれるだろうが<BR>私はこの作品を通して「孤独との向き合い方」<P>のような物を学んだ気がした。
個人的には、村上春樹は初期のパワーのおちかたの割に、それを補うだけの成熟をしない作家だと思っていました。初期3部作は今読んでも新鮮ですが、それ以降は逆に新しい作品であるにもかかわらず新しさが失われ、初期の雰囲気だけを引きずっていて、中身のない作品が多い気がしています。<P>が、この作品は力作だと思います。ある意味、村上春樹のもう一つの頂点といっても良いかもしれません。言い方は悪いかもしれませんが、作者の作品にしては珍しく、「きちんと小説の体裁を取っている作品」という点で評価できると思います。もちろん、人によって氏の作品に求める物はそれぞれですので、それを良いとするかどうかは価値観によると思いますが、私はこの作品は高い評価を与えてもいいと思っています。<!BR!>ですが、一般的な村上作品に対する評価基準というのは「好きかどうか」というのが非常に重要なファクターであると思うので、そういう点では期待はずれという人もけっこういるかもしれません。私も、好きかといわれたらちょっと難しいです。<P>ですが、「力作」であることは間違いないところです。そういう軸で考えるなら、村上作品のトップ5には入ると思います。