春樹パラレルワールドの最高峰。多彩で不可思議な登場人物、複雑で重層的な謎、ノモンハンにまで遡る時空の拡がりはまるで雄大な交響曲の<BR>様に読者を陶酔させる。この最終刊では従来と異なり謎が全て解明されておらず(世界の終わりとハードボイルドワンダーランド)の様な満足感は残らないかも知れない。<P>ただ、この長大な物語は主人公の勝利で終結しており未来への希望が感じられるし、何より重厚でファンタスティックなハルキワールドをこれほど堪能出来る作品は他に無い。日本文学史上に名を残すべき村上春樹の最高傑作にして最大の問題作である。
素晴らしい読後感。強烈に物語引き込まれ、同時にそれに引きずりまわされ<BR>諦観とと共に押し流されていった。にもかかわらず最後にわずかばかり差し込んでくる何かに感情が激しく揺れてくる。<BR> 何年か先にもう一度読み返した時、また別な発見がきっとある作品。
妻を取り戻すために、自分よりも圧倒的に強く、権力もあり、知的で、<BR>わけのわからない力をも持った邪悪な人間と戦う話である。<BR>その人間は妻の兄である。主人公は井戸に入る。ノモンハンでの想像を<BR>絶する凄まじい体験をした孤独な老人の魂も主人公と交錯する。<BR>とにかく凄い小説としか言いようがない。<P>この後にどんな作家の、あるいは村上春樹氏の他の著書を<BR>読んでもこれほどの小説に今だ出会っていない。<BR>とにかく強烈に引き込まれる。何より凄いのは、これほどまで壮絶な<BR>小説なのに読みやすく、多くの人が楽しめる内容になってることだ。<BR>村上春樹氏の最高傑作と言えるのではないか。