10代の頃、白い巨塔を読んで以来の山崎豊子本の高揚感とせつなさ。御巣鷹山のシーンでいきなり実名登場の臨場感と驚き、悲惨、焦燥感、その後の医師団・看護婦のこれまでわからなかった尽力等、しばらくぼーとして、周囲に絶対読めと勧めて回りまわりました。’坂の上の雲’とこの本くらいです。
ついに本書は御巣鷹山編になった。あの日の記憶は日本中のほとんどの人が鮮明なのではないだろうか。私は夏休みを利用して職場の仲間と和歌山の山々をドライブした後、車に酔ってしまい、白浜の宿でうとうとしていた。その際中にテレビから流れてきたのがあのニュースであった。その後の新聞に520名の人名が2面に入りきらないほど載っているのを読んで、旅の途中何度も涙した。もちろん、時が経つにつれ忘れ去られていた記憶である。事故当事者のほとんど肉声のままだと思われる本書の言葉一つ一つが、今また私の胸を打つ。そして、事故を2度起こさないために地道に闘って来た人達に初めて思いを寄せることが出来た。本書では山崎の著書では異例であろうが、実名が出てきた。この項を書くに当たって氏の取材がいかに当事者の心まで分け入って書かれたかという証拠であろう。
御巣鷹山の事故当時、まだ幼稚園児だった私は<BR>この本を読むまで、このような凄惨な事故が、この国で<BR>実際に起こったという実感がほとんどなかった。<BR>読んでみて、色々な意味で度肝を抜かれた、というのが<BR>正直な感想だ。<BR> 落ち行く飛行機の中で書き残された遺書、部分でしか<BR>残らなかった遺体での身元確認…。<P>読んでいて胸が潰れる思いだが、自分のように<BR>この事故をよく知らない世代ほど、読むべきであると感じた。