~「もし、クレオパトラの鼻が…」というのはよくある表現形式だが、この本は「実はクレオパトラには幼なじみがいて…」的な表現で始まる。(実際に本書にはクレオパトラの件は無い)「もし」より「実は」の方が真実味があって、まさに通説とは違った視点からみる、英雄・偉人小説といえる。知っている通説と知らなかった小説部分がうまく加味し合ってなかなか~~楽しめる一冊である。~
<BR> 西洋文明の一端を知ることが出来たのでは?と思う内容でした。<BR> 私は、余り詳しい予備知識はありません。 <BR> ブルータスやキリストやサロメやネロについては、マンガとか、世界史の授業で名前を聞いたぐらいでしょうか。<BR> そのわりには、結構楽しめました。<BR> 塩野七生(しおのななみ)さんの遊び心を感じます。<P> 文体が、歴史上の偉人たちの兄弟や妻の視点から書かれているからでしょう。親しみ易かったです。<BR> 作者の人間観察の視点もいいですよね。<BR>「キリストの弟」とか「師から見たブルータス」は特に、良かったです。<BR>物語としての面白さと、リアリティーを感じます。<BR> 本人の意図と周りの人の受け取り方は違うとか、淡々とした中にも考えさせられる内容でした。<BR>
ワイルドの描く「サロメ」。或いは聖書の「イエス」等などの人物像が塩野さんの手によると、こうも違って見えるのだろうか?いかにも妖艶な勝気な女、サロメがヨハネへの愛の拒絶によって、その首を所望した事になっているが、実はサロメは両親思いの普通の娘。ヨハネを捕らえたという物の、処刑する事を躊躇っていたヘロデ王。そこへ視察に来たローマ役人をもてなす宴会の席。頭の良いサロメは、父の立場を察して、踊りの報酬として、生首を戴く・・という話になっている。又、未だにベールに隠されている、イエスとその家族のつながり、母マリア、弟ヤコブ達の性格、生活ぶりなど、我々にも納得が行くように語られている。さすが塩野七生さんだ。その他オデュッセウス、ダンテの妻の言い分。ネロに双子!弟が居たという話。など、なかなか面白い。