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| 深夜特急 (5)
(
沢木 耕太郎
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この「深夜特急」シリーズは、全巻どれも気に入っていて、何回も読み返しては、自分もいつかこんなルートで大陸横断してみたいと憧れるのですが、特に私が気に入っているのはこの五巻目の旅です。<P> 一巻目のマカオや香港の旅から伝わるエネルギッシュさや、一方で六巻目のいかにも旅の最終章にふさわしい、ヨーロッパ大陸の先まで辿り着いた著者の感慨深い思いもいいのですが、しかし、この五巻目に描かれていたギリシャやトルコの人々との交流には、一番胸にじんわりと来るものがありました。<P> 国は違う者同士だけれど、言葉を交わさなくても、ただニコニコしているだけで十分気持ちが通じ合っていた時間・・・そんな時間がもてる場所は三十年近くたった今も向こうにはあるのだろうか、それを探すために自分も旅行してみたい、そんなことを思わせてくれる章でした。
沢木耕太郎に旅をする情熱はあるのだろうか。本人は否定するかもしれないが、私は「彼にはある」と答えたい。ただ移動するだけではない、本当の「旅」のしかたを、彼は知っている。このシリーズをよめば、それが(わかる人には)わかるだろう。
深夜特急 (5)
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| 本書は「旅行」ではなく、「旅」のノンフィクションと呼ぶにふさわしい。 <br>デリーからロンドンまでを、乗合バスで行く陸路の旅――。 <br>何の意味もなく、誰にでもやろうと思えばできること、と著者は述べる。しかし現在の職業を捨て、全てを投げ出し、さまざまな不安を抱きながらバスを乗り継いでロンドンまで行くなど、普通の人はまずできないだろう。 <br>誰にでもやれそうで、しかし、できない――。そんなロマンの展開にページを追うごとに胸が躍る。行き当たりばったりの旅の中で、トラブルや、経済的、心理的不安を「凶」から「吉」へ変えてしまう著者の発想転換などに、興奮と期待を持たずにはいられない。 <br>普通なら飛行機で十数時間で着くところを、自ら地面に足をつけ、土臭さと共に目的地へ進んでいく姿が、そこで出会った人々に強烈な印象を残していくのだ。 <br>その凡人が考えない酔狂な旅によって増していく筆者の心の開放感と前進することの快感が、ストーリーを追うごとに見事に強調され、読者に伝わってくる。しかも、行く土地ごとに出会う人々とのコミュニケーションを描く中で、文化や食、移動手段に至るまでが非常に詳しく、バランスよく表現されており、ガイドブックでは手に入らない旅の情報源としても威力を発揮している。 <br>ただ、これだけ限られた経済状況の中で、つまり貧乏旅行をしているのに、危険な目にあったことや、旅先での孤独感など「心の葛藤」についてあまり詳しく触れられていないのが残念だ。(今西乃子) |
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