著者、藤原氏は日本で博士号を取得し、ミシガンで博士研究員をしたのち、コロラドで助教授になった。この本は、その間の出来事や感じたことなどを興味深く記述している。最近は、インターネットのおかげで海外に住んでいても日本の情報を得るのに苦労しないし、円高のおかげで日本とアメリカの往復が容易になったために、アメリカにおける研究は当時に比べて壁が低くなっているだろう。しかしこの本を読んで、基本的なメンタリティはそれほど変わらないのだなあという感想を持った。私も、数学ではないが、アメリカで研究をしているので共感するところが多かった。私の場合は最初のセミナーをしどろもどろの英語で行ったが、親切にもボスが発表後拍手をしてくれたのが思い出される。研究に限らず、一人でアメリカに来て何かをしようとしている人たちが気をつけなければならないのが、藤原氏すらも陥った「うつ状態」である。これを打開するには、家族や友達の力を借りるのが一番である。これら以外のことに関しても参考になることが多いので、研究や留学のみならず将来海外で生活しようと考える人々には一度読んでみると良いと思う。
読みすすめるうちに、著者のアメリカでの生活を追体験できる。そしてきっと自分もそのような感情を抱くであろうという場面に何度も遭遇する。また、筆者の心の動きや情景が細かく描写されており、なおかつ生き生きとしたリズムが感じられ、読み始めるとすぐに作品の中に引き込まれ、一日で読み終えてしまった。<P>様々なエピソードを読み進めるうちに、だんだんアメリカが魅力的に思えてきた。自分も機会があれば留学したいと思うようになった。
筆者の数学者としての意地が随所に垣間見える熱くなれる小説です。<BR>筆者が1人でアメリカへ乗り込み、一端の数学者として堂々とアメリカ<BR>で生きてゆく様は圧巻です。個人的には、極寒の地で、無力感に<BR>さいなまれ生き地獄といえる日々を1人アパートで過ごしている<P>場面はかなり胸に響きました。しかも、この本は私が自分が生まれる前の話ですから驚きです。。。