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| ローマ人の物語〈5〉― ユリウス・カエサル-ルビコン以後
(
塩野 七生
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カエサル(シーザー)は、軍事、民政両方の天才だった。帝政に向かってローマを導こうとしたのも、それが超大国となったローマを統治する最も適した政体だと考えたからだ。ところが王政アレルギーの強い一部の人間たちによって暗殺されてしまった。ここで驚くのが、暗殺者たちが、「カエサル後」について何も準備していなかったことだ。カエサルの信条である「寛容」、未来を見通す透徹した眼、偉大な人間を失った悲しみが、読者にも伝わる。 見たくない現実も見ることができる能力を冷徹という。まさにその意味で、カエサルは冷徹そのものだった。カエサルは天才だということは周知のとおりだが、じゃあどう天才だったの、という疑問には本書が答えてくれると思う。 この本を読む前にローマ人の物語4を読んでおきましょう。<BR>なぜならこの二つは、上下の二巻といった関係だからです。<BR>すでに4を読み終わり、これからこの巻を読む人には期待を裏切らないできになっています。<BR>ですからゆっくり味わって読みましょう。<BR>おもしろい本はあっという間に読み終わってしまいますからね。
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