ただ、ローマの道や水道などの話が書いてあるだけなので、何故、こんなに面白いのだろう?<BR>それは、とっぴな例えかもしれないが、素晴らしいマラソンのレースを見ているかのような存在そのものの感動があるからかも知れない。<BR>人ではなく、まさしくインフラが主人公の異色の1章。
著者は前書きにて「戦闘の手に汗握る描写もない」し、2千年の歴史の中の世界全土を頭に入れておかなけれればならないし、で読むのに苦労するかもしれないと、あらかじめ公言している。<BR>しかし、いざ読み始めると、案外他の巻より読みやすいのではないかとも思ってしまう。<P>歴史を俯瞰できる上に、ハードなインフラ(水道、道路)、ソフトなインフラ(医療、教育など)etc、ローマのローマたるゆえんが良くわかってとても面白い。<BR>しかも、図版や写真がたくさん載っているので、ローマの歴史を肌で感じたい人には特にオススメです。
本書は、九巻までとは趣向が違っている。ローマ人の物語は主に、当時の主役たちが軸になり構成されているが、今回はローマ人が作ったインフラが主題になっている。ハード面では街道、橋、水道、ソフト面では医者、教育についてが主題になっている。<P>一見、退屈なテーマだが飽きが来ないのだから不思議だ。読みながら常にインフラとは何かについて考えさせてくれる。歴史を現代について考える道具として提供もしてくれている。後半はカラーページで前記内容の建造物を紹介している。