上下二巻 上である本書は孝明天皇の時代、つまり明治天皇誕生から明治14迄の明治天皇がほぼ時系列で、ただ事実を列記するような形で書かれている。<P> 時々の歴史的事件を明治天皇の側から捉えるような流れであるが、本書に著者が自ら記すように、明治14年侍従である萩昌吉が、明治天皇が風呂場で各参議の人物評を行ったのを記したのが、明治帝の肉声を伝える最初の記述である。<P> つまり、明治帝の内なる思いを聞いた記録がない本書の前半部分は、ある意味その意思を図るとしてもそれは作者の想像であり、また想像するにしてもその身分の高貴さ故に文章におもしろさはかけているかもしれない。<P> しかしながら、明治帝に関する関心があまりはらわれない昨今、つま多くの人々がその知識が不十分なるに本書を読めば、十二分に自身の興味をひくものだと思う。<P> 一つの例として、いまだに明治帝が生誕した一軒家が京都に存在しているという事実を、歴史好きな人でも存知あげない方が多いのではないでしょうか(私も知りませんでした。)。<P> ちょっと高いですが、読んでみてください。<P>
かなりボリュームがあり読むのに時間がかかるかな?<BR>なんて思いながら手にとりましたが、なかなかどうして<BR>面白く読めました。明治天皇を支柱にして展開してある<BR>歴史考察としては、項により波がある気もするのですが<BR>専門家でもないし一読者としては素直に楽しめました。<BR>こちらの上下巻を読んだ後で同著者の「明治天皇を語る」<BR>を読んでみてください。<P>「明治天皇」では割愛されている天皇個人のエピソードの<BR>が話し言葉で語られており裏話的で楽しめました。
ううむ。<BR>ある人物を中心に歴史を語ることは、有益な方法である。<BR>ただ、天皇を中心に据えて歴史を語ることは、難しい。<BR>本書の試みは、あまり成功していないように感じられる。<BR>たとえば、大久保利通が出てきて当然の部分も、触れられずにサラッと記述されていたりする。<BR>なにやら、かえってわかりにくいように感じられる。