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| ハイスクール1968
(
四方田 犬彦
)
出版が早すぎた村上龍の「69」を庶民版とすれば、これはその知的エリート版とも言うべきものである。<BR> もちろん、凡百の自慢話とは異なり、教駒=東大とは無縁の私にも些かの嫌みも感じさせない。それは、四方田犬彦がノーブレス・オブリージュを実践し続ける希有な一人であるからであろう。<P> 私は1950年生まれである。時はまだ「貧乏」が目に見えるものであって、高校で一番の生徒が経済上の理由で進学を断念したことを忘れることができない。<BR> 凡人は、一般社会で知や正義など無用の長物と言うよりも忌み嫌われるものに過ぎないことを噛みしめながら生きざるを得ないが、時に一服の清涼剤としての書物が現れてくれる。<P> 怠惰と裏腹の醜悪な懐古趣味を排することは当然であるが、人は時代や環境と無縁ではあり得ないこともまた否定しがたい事実である。<BR> 昨年の矢作俊彦「ららら科學の子」に続き、巻を措くあたわざる興趣に充ち満ちているあまり完読してしまうのが惜しくてならない極上の一冊である。
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