「固定資産税だけで国家財政を賄うべし」このヘンリー・ジョージが、一世紀も前に唱えた「土地単一税」構想は、実に興味深い。現在、我が国の家計と民間企業が保有する固定資産と土地の合計額は、約2200兆円である。これに1%の固定資産税をかけるだけで22兆円の税収になる。4%で88兆円入る。つまり4%の固定資産税で、所得税も法人税もゼロにできるのは勿論のこと、更には嬉しいことに赤字国債の発行すら不要となるのだ。ゴルフ会員権が、損益通算に認められるなど現実の税制は、とかく政治的な思惑に左右されがちで、理念的な改革は困難を極めるだろう。納税義務者である国民は、もっと税制に関心を向けるべきだ。税に対する知的好奇心を本書は充分に満たしてくれる。
前著「超納税法」の続編。ややこしい税制について、いろいろなエピソードを交え、実務的な面(といっても私は素人なのでよくわからないが)も押さえつつ、軽妙な語り口で、その問題点を指摘しています。この本の特徴は何といっても読みやすさ。読み進んでいるうちに、税制の問題点がわかってきたような気にさせる、そして、もっと税制のことが知りたくなる格好の入門書だと思います。最近、「金融工学」とか、デフレの問題についてのコメントとか、勉強好きなミーハー大衆のうけを狙った著作が多かったが、この税金シリーズは著者の本来の専門ということもあり、久々に説得力もあったように思います。税をこれから勉強する人にはお薦めの1冊では。