24年という気が遠くなるほどの歳月、行方不明、実は北朝鮮による拉致であったと判明、<BR>そうしてついに取り戻した弟、薫さんを手放しでは受け入れられない複雑な事情・・。<BR>なんと数奇な運命に翻弄されてきたことでしょう。<BR>私はこれまで、日本で生まれ育ち、基本的に日本人であることに満足してきました。<P>でも蓮池さん達にとっては、「無法国家北朝鮮」と共に戦うべきである日本が「無能国家」であったゆえに、<BR>さらに辛酸を舐めねばなりませんでした。<BR>これまで、自分や家族のことで精一杯で、それに私なんか大して役にもたたないし・・、<BR>と、積極的に運動に関わることはしませんでしたが、<BR>やはり何かできることはあるはず、と思い直しました。<P>その一歩は、まずこの「奪還」を買うこ!と。<BR>そしてすぐに読者カードを出しました。<BR>何か私にもできることがあれば教えてください。という気持ちが伝わればよいのですが。<BR>とにかく一日も早い解決を願っています。
この8ヶ月間、政府自民党、外務大臣、外務官僚が何をしてなにを為さなかったかみんなよーく見ていたよね。結局「家族の会」が独自に行動するしかなかった姿をとくと思い知ったはずだ。<P> はじめメディアにお兄さんが登場したとき、みんな気づいていたはずだよね、国に対しておおきな不信感をもっている人にちがいないと。ぼくも同じ思いなのだが、ことのいきさつを詳しく知るに及んでなおいっそうその思いを強くした。なのに透さんは、逆に静かに、抑制の方向に向かった。<P> 無能な国家にたいする絶望なのか、それとも止揚して対アメリカ交渉での同情をひきだす道具立てとしたのか、本心は知らない。けれどもこの一冊から汲み取れるもっともおおきなメッセージは、ひとつひとつの具体的な問題において、いまの日本国はいっさい国民に救いをあたえる能力と意欲を持ってはいない、ということだ。そのことをあらためて知るうえで有益なものだった。右、左、中間にかかわらず必読だと思う。また価格も抑えてあってよろしいですね。<BR> 星四つの理由はもっとはげしく思いのたけを吐き出してほしかったから。まあこれでも充分歯がゆさは伝わってきたけれど‥
静かな文体ながら迫力が行間にある。26年間怒り続けてきた、100万人の署名を集めてきた著者と家族たちのパワーを感じさせる。真実を語る人の迫力であり、これからも厳しい道が待ち受けている。今後何よりも懸念されるのは、国際政治のあつれきの中で、拉致問題が「カード」となってしまっていること。読後、巻末の年表をたどってみると、26年間も、この方々は「政治の都合」に翻弄されてきてしまったのだと、「日本人をやめたい」という会の人たちの気持ちに同感してしまうのですが、救いは中央大学の学生たちの支援活動のくだりです。