何冊かのホテル関連の本を読んできたが、この本ほどよく出来たホテル関連本はないと思う。<P>この中に出てくるホテルは正直言って我々一般人が泊まれるホテルではない。宿泊料の高さが理由ではない。すばらしいホテルは泊まる人間に一朝一夕には得ることのできない「品格」を要求するのだ。なので、この本を今度の休暇で泊まるホテルのガイドブックとしては使えないと思った方がいい。<P>それよりも、特にサービス業に携わる人はこの本を読んで「サービス業」「ホスピタリティ・ビジネス」とは何なのかを考えた方がいいと思う。<P>各ホテルのサービスについて以外にも、「ターンダウン」「客室の値段はどのように決定されるか」「ホテルに泊まるときには何階がいいか」など今まで知りたかったが知る機会がなかったことについての説明が秀逸である。<P>ただひとつの難点は、著者がちょっとナルシスト気味であるところか。
20ページのザ・コノートというホテルに関する文章を読んでいると、<BR>思わず僕の上半身は前後左右に揺れ、更にはねじれてしまった。<P>本当にこんな世界が存在するのだろうか?<BR>こんなもてなしがこの世に存在するのだろうか?<P>行きたい!<BR>どうしても行きたいとそう思われる内容がこの本にはあると思う。<P>ホテルに関する本を読むのはこの本で4冊目である。<BR>今までの本は小説などに比べると魅力的な内容はなかった。<BR>どんなにまっとうな事、尊大な事を並べられても、<BR>そんな事には全く反応できなかった。<P>僕は現実が知りたかっただけなのかもしれない。<BR>もう一回読もうかな。
ここ2週間くらい『最高のホテル 極上の部屋 世界のスイート厳選61』(美野香 新潮社 2003年)という本を、毎日ちょびちょびと読んでいました。この本は、筆者が世界中の一流ホテルのスイート・ルームを渡り歩いて、そのサービス内容(の素晴らしさ)を報告する、という本です。<P> いやはや、何度もため息が出ましたよ。そして、野望がかき立てられました。<P> 一流ホテルっていうのは、富と野望の象徴なんですね。「いつかは○○(一流ホテルの名前)のスイートに泊まってみせる」っていう世界です。こういう、上昇志向は、アメリカ的な価値観でしょう。これまで僕が、具体的にはあまり知らなかった世界でした。