かねてから、日本は犯罪者に対しどちらかというと「更正」という目的刑思想が強く、欧米に見られるような「応報刑」思想に乏しいとは感じていました。また、被害者感情を無視していると思う報道もよく見かけるとは思っていました。しかし、これほど理不尽な現状だとは思っておりませんでした。数々の「事実」が列挙されていますが、これらが事実なら、例えば、酒気帯び運転より酒酔い運転は重く処罰されますが、これがもし「酩酊運転」まで行くと、逆に刑が減軽される、という不条理な事態になりかねない、ということになります。あまりに酷く、理不尽で、思わず目を背けたくなるほど「重い」内容です。しかし、だからこそ私も多くの人に読んで頂きたいと思います。特に、これから法科大学院、法曹を目指そうという方々、政治家を目指そうという方々には是非、一読頂きたいと切に考えます。
深い感銘を受けた。<BR>それは何と苦渋に満ちた感銘だったろう。<BR>これだけの内容の書をものした著者にエールを送るとともに、この本を出版した新潮社に深く感謝する。<BR>この本は広く読まれるべきである。
ビアホールでビールを大ジョッキに4杯飲み、その後スナックで水割<BR>りをダブルで4杯飲み泥酔したあげく、路上で通行人の頭をレンガで殴<BR>りつけ金を脅し取ろうとした男が、裁判で無罪になった。責任能力が問<BR>えないほど酩酊していたからだという。あなたはこの判決が納得できよ<BR>うか。<P> 著者の主張はきわめて明快である。犯罪者の結果責任を問え、という<BR>ものだ。それを実現するための刑法の改正(特に39条)や精神疾患をも<BR>つ犯罪者の療治施設の建設など、提案は具体的であり、今すぐ実現可能<BR>なものばかりである。著者がこの書を生半可な警告書で終わらせるので<BR>はなく、なんらかの実行を促す礎にしようとしていることがわかる。<P> 前著書『裁判官に気をつけろ』も本書と内容的に重なるところがある<BR>が、前書は著者特有のユーモアたっぷりの文体で、重くてやり切れな<BR>い気持ちになるような内容でも、一般の人が気楽に読み通せるような作<BR>りだった。しかし本書はそういったおちゃらけは一切拝し、あくまでも<BR>重い内容は重いままで伝えようとしている。そういう意味では読む側に<P>もそれ相応の覚悟が求められる。心して読まれたい。