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| 下山事件
(
森 達也
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あのオウムのドキュメントの森達也がなぜ50年も前の謀略事件に興味を持ったのだろう。終戦直後の日本でなにがあろうと今の我々に何の関係があるのか。そう疑問に思うのなら、一読の価値あり。<BR>戦後最大の謀略事件の謎にせまりつつ、読み終えた時に読者は<BR>「自分の問題」としてそれに向き合わざるをえないだろう。 最後まで一気に読ませる力を有する作品。事件そのものに対する「視点」への緻密なアプローチは勿論、個人と組織の闘いを通じたそれぞれの葛藤が迫ってくる。読者それぞれが、自身の「視座」を問われる意味でも「文句のない」読後感だった。ぜひ二十代、三十代の若い方々にも読んで欲しい。そしてこの一冊から「昭和」という時代「戦後」という背景を考えるきっかけにしていただければと思います。
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