我々は常に科学の恩恵を受けて生活している。そして、その科学の発展に欠かせないのが数学である。然し、その発展に貢献した先哲の名前をどれだけ挙げることが出来るだろうか。ニュートンの名前は知っていても、関孝和の名前を知っている日本人は果たしてどれ位いるだろうか。この本はそれらを全て教えてくれる素晴らしい本である。
この本を読んだことで著名な数学者へのイメージが変わりました。<BR>これまで、ただ数学の探求のみに人生を捧げてきた人たちと思って<BR>いたのですが、実は彼らは数学以外に人間臭い面を少なくとも一つ<BR>は持っていることが分かりました。政治、愛、地位…。また、常に<BR>孤独感を背負っており、その寂しさを埋めようとあがいている様も<BR>浮かびました。<P>私は制御に関する研究を行っている学生で、普段様々な数学に触れ<BR>ますが、それらを作ってきた数学者に関する知識はありませんでし<BR>た。ただの伝記ではなく、著者自身それぞれの数学者に関連のある<BR>場所を尋ね、そこでの出会いなども描かれており、自ら旅をしてい<BR>るような感覚を味わいながら数学者達の「栄光と挫折」を知ること<P>ができました。分量が適当かつテンポも良かったので、どんどんと<BR>読み進めることができました。
NHK人間大学シリーズのテキスト「天才の栄光と挫折―数学者列伝」を元にして一冊の独立した著書としたもの。<BR>内容は基本的に変わらないが大幅に加筆してあり、番組を見、テキストを読んでいてもなお読み応えがある。<P>もっとも印象に残るのは、ニュートンのくだりである。なぜ西洋に科学が発達し、東洋で発達しなかったか?その分岐点となった宗教の存在。その例証となるニュートンと関孝和のダイナミックな比較には目から鱗が落ちる。一方でニュートンの母への心情にもこれまでとは違ったニュートン像がある。<P>改めて目から鱗を落としたくて、次々に読み進めてしまう充実の一冊である。