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| 嗤う伊右衛門
(
京極 夏彦
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夏の風物詩、怪談話の代名詞である「東海道四谷怪談」をベースにして、京極夏彦が作り出した、哀しい愛情物語。<P>妻を裏切った悪人 伊右衛門が、実は非常な妻想いの人であり、か弱く恨みに凝り固まった岩も、実は聡明で愛情深い人であった。<P>自分を殺した亭主を恨んだ妻が、復讐をするといった内容の怪談話から、別の世界へ大きく想像をふくらませ、夫婦間の愛情溢れる物語にした作者の力業には敬服させられます。<P>「妖怪小説」でデビューした作者が、怪談を題材にした作品だけあって、そういった傾向の作品だと敬遠していた方々にも、是非ともお勧めです。
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