日本史では戦国時代の始まりは1467年に勃発した応仁の乱とされる。長いの混乱の末に「天下一統」の燭光を与えたのが、乱から約百年後の1560年に足利源氏の名門たる駿河の大守護大名今川義元を桶狭間の戦いで倒した風雲児信長である。ここから信長・秀吉・家康が活躍する安土桃山時代がはじまる。信長が天下統一を推し進め、斬新な改革を進め、他の大名、宗教勢力、そして天皇の権威と対決しながら、志半ばで本能寺の変で明智光秀に討たれるまでが前期、秀吉と家康の虚々実々の駆引きから秀吉が「天下人」になったが、朝鮮にまで兵を進めるなど自らその政権の弱体化を招き、その死後、豊臣陣営の内紛が激化し、関ヶ原と大阪の両陣を経て家康が幕府を開くまでが後期で、戦国時代の終焉である。本書は安土桃山時代の前期にあたる桶狭間から本能寺までの織田信長が闘った主要な合戦をすべて取り上げて、彼の統一事業を「合戦」という視点から詳細に観察している。
決断の早さと物事への執念深さ。<BR>信長に関して改めて感じました。<BR>同時に外交の熱心さも本書を通じて学ぶことができました。<BR>また信長に限らず、秀吉や家康も戦い方はそれぞれであっても、移動の速さを重視していたことに興味を抱きました。<P>明智光秀の母や長篠の合戦に関する通説に、新たな視点を投げかけていることも参考になりました。<P>歴史とは後世から見れば、時代の流れに沿ったり、新資料の発見等により解釈が変わります。<BR>良質の資料にこだわるという著者の姿勢が、本書の価値を高めていると思います。<BR>著者が記しているように、本書が信長研究の新しい「叩き台」になることを期待しています。
織田信長の軍事面での生涯を解り易く解説。<BR>有名な合戦は逆に省いていて細かな戦闘を時間軸を考慮しながら書いてあるので、非常に読みやすい。<BR>新説とまでではないが、著者の見解が押しつけがましくなく述べてある点も好感です。谷口氏の本領分野ですからオススメできます!