このジャンルには既に「超」文章法と呼ぶべき名著が存在する。20年前に出た、木下是雄氏の「理科系の作文技術」(中公新書、1981年、以下「木下版」)がそれである。「木下版を踏まえた上で、そこに書かれていないテクニック、および、今日的(up to date)なテクニックを如何にまとめるか」、著者が最も心を砕いたのはこの点ではないだろうか。そして、その試みは概ね成功しているようだ。その意味で、この本はむしろ「続」超文章法であると位置づけることができよう。文章を書き始める前のテクニック(メッセージの重要性)、一旦書いた後の推敲のテクニック(化粧)、パソコン利用法はおおいに参考になる。木下版の次に(もし持ってない人は木下版と共に)、買うべき本である。
ある文章を一回読んで分からなければ、それは書き手の問題だと常日頃から感じている私は、この本を多くの人々に薦めたいと思います。言いたいことがはっきりしていない限り、分かりやすい文章は書けません。この非常にシンプルなことを実践できていない人が非常に多いのです。コミュニケーションは物事を理解し、動かしていく上で最も大事なものです。みんなで勉強しましょうね。
この種の本を読むのが初めての人にとっては、あるいは野口さんのファンにとっては買っていい本だろうと思いますが、どちらでもない私にとっては、読んだあとに何も思い出せない種類の本でした。