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| アメリカの20世紀〈上〉1890年~1945年
(
有賀 夏紀
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二〇世紀はアメリカの世紀だった。アメリカが二〇世紀の超大国として、世界の政治・経済を動かし、アメリカ文明・文化の影響力は世界の隅々にまで及んでいった。本書は超大国アメリカの社会そのものの発展・変化に焦点をあて、多様な人種的民族的文化的背景をもつ人で構成されているアメリカ社会が、どのような勢力によって、どのような思想に基づいて形成され、変化していったのかという点を明快に論じている。結論を一言で言えば、二〇世紀アメリカ社会は、政治・経済の指導者から移民や黒人などに至る多様な人々によって、世紀転換期に興隆した革新主義と呼ばれる思想に基づいて形成され、動かされたのである。<P>筆者は、現代アメリカの原型が世紀転換期に形成されたと明言する。科学技術の革新に裏付けられた急速な工業化、移民の大量流入、都市人口の増大などで一九世紀のアメリカ社会は一変した。このような社会の混乱を克服するために出てきたのが革新主義思想だった。革新主義思想とは、組織化、科学的合理的な方法を用いれば社会の諸問題を解決することができ、正義が実現できるという、科学万能主義的な考え方である。この革新主義思想に基づき、秩序・安定・効率を求めて政府・企業・研究機関の三者が緊密に協力する社会体制を確立し、このシステムの下で経済発展は加速し、一九二〇年代末の大恐慌と二度の世界大戦を経て、アメリカは世界をリードする超大国にのしあがっていった。<P>専門用語など皆無で、特別アメリカ史の知識がなくても十分理解できる。アメリカ研究の第一人者が、平易な表記・文体で書き下ろした傑作だ。特に下巻の最終章「『九月一一日』が示すアメリカ」は圧巻である。<P>筆者は米国の名門スタンフォード大学で博士号を取得、現在埼玉大学教養学部教授。代表作『アメリカ・フェミニズムの社会史』(勁草書房、1988)は不朽の名作であり、山川菊栄賞および日米友好基金賞を受賞。強く一読を薦める。
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