著者は動物学者として新進気鋭の正高氏。携帯メールを主なコミュニケーション手法<BR>とする若者が、サルのコミュニケーションと似てるというところから、そういう若者を<BR>育ててしまった日本人の子育ての問題点に鋭く迫る本・・・だと期待したのですが、<BR>残念ながら空回りしていました。<P> 他の著作と比べて論理の飛躍が激しすぎて、つっこみどころが満載です。途中までは<BR>合理的に説明されますが結論に至る部分が納得出来ない話ばかりでした。問題提起とし<BR>ては大変面白い話なのですが、フラストレーションがたまりすぎます。中公新書が出し<BR>た本だとは信じられない位でした。
近頃の若者の様々な乱れがどの様な背景の元に生まれてきたのかを独自の視点で説明しています。特に日本家庭における母親の役目が近代で大きく異なったことが第一の原因だとしています。その理論、なるほどと思わせるもので、文体が優しいこともあって終わりまで一気に読むことが出来ます。<P>また、養老孟司が“逆さメガネ”で東大紛争のことに言及していましたが、それを”引きこもり”と見立てる作者の視点は新鮮です。<P>あとがきで教育論批判として”本の朗読や九九計算の奨励がお笑いぐさである”としていますが、その対案が提示されておらず、片手落ちとも感じられるのがちょっと残念です。
ケータイをはじめ、ルーズソックス、ひきこもり、電車内での化粧などの若者の行動原理を、サル学という独特の視点から分析した一冊。<P>「家のなか」主義ともいうべきものがその行動原理であるという著者の主張は、100%納得のいく結論ではないが、多量のデータを提示したり、サル学との比較で論じている点、はたまた育児についての問題提起などは一考に価すると感じた。<P>タイトルのネーミングの素晴らしさでつい手にとったが、読んでみて損のない一冊だった。