「本来、試行錯誤することが当然である子育てを『外注化』によって回避しようとする親の姿勢が広がりつつあるのところに最大の問題点がある」。子どもを某英語教室に通わせている親として、この一文には強く反省を促された。本書は、英語教育のあり方を通じて、「話せる」とはどういうことか、コミュニケーションの本質は何か、さらには、子育てとはどういうことかについて鋭く洞察している。今の時代は、テレビやメディアを通じて、言語明瞭意味無明瞭な言葉が膨大に流れている。なにかしら流暢に「ぺらぺら」としゃべれることに価値があるように感じがちだ。しかし、それは、対話ではなく、薄っぺらなオシャベリでしかないのかもしれない。本当のことを語り合えない閉塞感は、そこに根源しているかもしれないと感じた。子育てや人づくりのノウハウを「外注化」することで失くしてきたのかもしれない。<BR>子育て中の人はもちろん、人を育てるということをビジネスにしている人にも、一読の価値があると思う。