小説とは違った、新選組隊士の素顔に迫れます。<BR>私のお勧めは、象山の忰です。<BR>といっても、象山の息子に興味があったのではなく、「土方と沖田が2人で碁をうっていた」というところから、<BR>鬼と恐れられた彼等も非番の時には、仲良く遊んでたのだな、とか<P>「”鈍いのが本当じゃねぇか。何だ。何だ。そのざまは。”と沖田が大口をあいて笑った」などというくだりを読むと、<BR>彼らがどんな言葉遣いで、どんな会話をしていたのかなどが想像できるからです。本当にいつも笑っていたのね。沖田さん。
当事者に聞いて書き留めたものなので、<BR>静かな迫力があります。<BR> 私には、「勇の屍を掘る」が印象的でした。<BR> 映画やドラマではとりあげられない場面ですが<BR>肉親達の愛情に涙しました。<BR> 小説とはちがう、淡々とした描写が<BR>「事実はこうだったのか」と思わせます。
倒幕派の清川八郎の策動から始まる新選組の顛末全般を描いた前作「始末記」に対して、「壬生の屯所」「池田屋事変」「近藤勇の最後」他にテーマを絞った生々しい取材記録。 池田屋事変の報告書ともいえる近藤勇の手紙が掲載されているのですが、大事をやりとげた後の興奮と、浪人集団という世間の評価を払拭できるかもしれない希望が伺えました。 近藤勇も、喜びと苦悩を繰り返す私達と同じ人間なのだと実感できます。<BR> 著者自身が「記憶(事実)に対して誤りがないとは言えない。」と書いてはいますが、十分に貴重な「哀しい歴史資料」です。