森田勝こそ夢枕獏の「神々の山嶺」に登場する「羽生」その人だ。最後に命を散らした山こそ違うもののクライマーとしての足跡はほぼ一致する。<P>ただし、実物の森田勝はもっともっと痛々しいくらい自分の夢に正直に向き合った人だったのではなかったのか。我々「社会」人にとって何時の間にか常識となっている様々な「妥協」とは正反対にいた森田の生き方はそれゆえに周囲との様々な衝突を招いている。しかしその精神のなんと純粋なことか。胸が痛くなり心が洗われる一冊。
「なぜ?」「もっとこうしたらいいのに」なんて森田さんに語りかけたくなりました。<BR>そうしないのが、彼流なんだ。<BR>とにかく、魅力のある人だと思いました。彼の生き様が心にじーんときました。
愛して攀るというよりも、怒りを叩きつけるようにして、憑かれたように岩壁へと向い続けた天才クライマーの、あまりに壮絶な人生に涙が出た。<BR>著者の端正な文章が、クライマーの人間像を鮮やかに浮かび上がらせ、読後も心の奥深くに何かが響き続けるような本だ。<P>森田という人間の、不器用な純粋さにひたすら心打たれた。<P>ただの山岳小説に納まらぬ、素晴らしい内容。<BR>山をやる人にも、やらない人にも、是非おすすめしたい一冊。