この本の著者の藤本ひとみさんは、十二年間の公務員生活を経て作家となったそうです。<BR>確かにカラーの資料は多く参考になりますが、それだけです。<BR>マリーアントワネットの生涯が知りたいのなら、<BR>もっとちゃんとした作家の本をおすすめします。<BR>この本では、確かにマリーアントワネットについて書かれているのですが、<P>それは他の歴史評論家の言葉や自分の個人的な意見ばかり。<BR>私の場合、知りたかったのは「マリー・アントワネットの生涯」その事実であり、この作者の意見や読者ウケをねらった作者の行動やではありません。<P>「ベルサイユのばら」のファンの方には、この本ではなく「ベルサイユのばら」の作者である池田理代子さんの「フランス革命の女たち」という本の方をおすすめします。
文庫版ですが、カラー写真やモノクロの肖像画が多かったのは良かったです。「マリーの両親の肖像画」「ネッケル」「ロベスピエール」「マリーが好きだったというお菓子」それから衝撃的なものでは「ルイ16世の処刑の図」「マリー(を馬鹿にした)風刺画」なんかもあります。<P>人物に対する文章は、全体的に『人の裏』をアピールしすぎかと思います。周りの人達に利用されたマリー、浪費家としてのマリー、フェルゼンの裏の面を知らなかったマリー、そんな印象を受けました。変に美化していないという点では評価しますが、処刑前のマリーに対する著者の本音をはじめ、結構キツイ本音が多いです。マリーを愛する人が読むと正直ガッカリさせられる内容ですね。
今までマリー・アントワネットと言えば、『ベルサイユのばら』の知識しかなかった私にとっては、この『マリー・アントワネットの生涯』は、目からうろこの考察が非常に多く、面白かった。<P>たとえば、彼女の浪費、夜遊びは、夫ルイ16世との性的交渉がうまくいかないが故のストレス解消、という解釈が一般的だが、藤本ひとみはそれだけで片付けていない。<P>また、フェルゼン伯爵との純愛にもかんぐりを入れている。マリー・アントワネットについて、もっといろんな書物を読みたくなり、藤本ひとみの本ももっと読んでみたくなった。