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漢字百話 ( 白川 静 )

漢字が占いに使われた甲骨文字から始まったことは知っていたが、こんなにも多くの漢字が祝祭とかかわっていたとは知らなかった。この本を読んでからいろいろな感じを分解して考えるようになった。天という字が「二」と「人」にわけて考えてもいいんだとか、「妖」という漢字は「若い女」が妖艶なさまであるとか、「己」という字にはスパイラルのような呪がこめられていそうだとか、いままで単なる形象にすぎなかった漢字がなまなましく感じられるようになった。

「漢字ってこんなに面白かったのかぁ!」と叫びたくなる本です。<BR>小学校以来(私にとってはずいぶん昔の話ですが)散々悩まされ、<BR>日本人であることを恨みもした漢字ですが、この本を読んで漢字に<BR>対する愛着と親しみがはじめて湧いてきました。<BR>「もっと漢字文化に誇りを持ち、漢字を理解して大切にしなくては」<BR>と思えるようになりました。<P>現在知られている漢字のルーツである甲骨文字や金文に遡って、<BR>それぞれの漢字がどのようにして生まれ、どう変遷してきたか、<BR>漢字の読み(音)や形との関係、などなど、漢字研究の世界では<BR>右に出る者のいない白川先生ならではの深い考察がいっそうの<BR>興味を引き立てます。<P>現在の字体に慣れ親しんだ世代の私にはかなり難しい文字もあって<P>そ!そも何と読むのかわからない漢字が平然と使われていたりして、<BR>ちょっと頭を抱える面もありますが、わかるところだけを読んでも<BR>上質な歴史推理小説を読むようなワクワクした気持ちになります。<BR>「この漢字って、元々そういう意味があったのかぁ!」という驚きの<BR>発見がいっぱい詰まっていて、ページをめくるごとに新鮮な気持ちで<P>読み進めました。漢字を部品に分解して、それぞれの部品の成立と<BR>そこから派生したさまざまな漢字のグループの関連なども詳しく<BR>解説されていて、興味が尽きません。<P>漢字は苦手、漢字は嫌い、という人もこの本を読むときっと漢字への<BR>興味が湧いてくることと思います。<P>同じ内容であるとは知らず、新書と文庫両方買ってしまいました。

 読んでいる最中に微かな既視感。「ああ。これ、おれ、前にも読んだことあるわ」。たぶん、かなり昔に新書かなんかで読んだことがあるのである。つまり、何年かぶりの再読である。でも、読んだ内容を記憶している訳ではないので、再読であっても特に支障はないのだが。<P> 白川静センセイの文章は簡明で論理的。余分な装飾がなく、キビキビと言いたいことを提示してくれるので、読んでいて気持ちがいい。冗長で非論理的な文章が巷にあふれているから、なおさらそう思うのか。<P> しかし、普段何気なく使っている「漢字」の歴史を遡っていくと、これほどオカルティックな、一種のおどろおどろしい世界に繋がっていく、というのは、なかなか興味深い。「呪術的な心性が日常的な感覚としてリアリティを得て!!!た時代から遣われていた文字なのだなぁ」、と、実感できる。

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