競走馬の生産を生業としているものです。<P> 非常に読みやすい本です。筆者も文中で何度となく指摘している通り、母系は父系と比較すると、1頭あたりの産駒数の少なさから、傾向やその馬自身が持つ繁殖能力が掴みづらく、非常に説明しづらいものです。その中で、母系というものがどれほど重要であるかを説いていくのは並大抵のことではないのですが、本書では難解な部分をなるべく省いて、母系が重要視されてきた歴史と優秀な母系が多くの活躍馬を生み出してきたことを中心に、数値などを出して客観的に書こうと試みられています。<P> 私は生産者ということもあって、生産現場にスポットを当てた『第5章・母の事情』は興味深く読ませてもらいました。この本に書かれていることがすべてではないのですが、血統理論の本で生産現場に目を向けた本は珍しく、システムの説明は意外と知られていないので、現場を知る意味でも競馬ファンの方には読んでいただきたいです。<P> 血統の本は難しい、という先入観をもって血統に対するアレルギーがある方でも、血統について自身のある方でも、興味深く読める一冊だと思います。
「競馬の血統学」の第二巻。<BR>従来、父系中心に語られてきた血統だが、この本では「母系」について書かれている。名馬には名母系があり、なぜ名馬になったのか、その母系を取り上げることでその謎を解明している。<P>「日本の母系」の歴史としてスペシャルウィークとトウカイテイオーが例に上げられている。名母系は一朝一夕では築けない、生産者達の試行錯誤の結果であると思い知らされる。<BR> <BR>いままで父と母父しか見ていなかった自分は、これを機に是非とも母系にも着目したいと思った。POG、一口馬主をやる方にもお薦めの書。