社会主義批判として読もうとも、ファシズム批判として読もうとも、<BR>あるいは現在のメディアを武器とする情報管理社会の予言書として<BR>読もうとも、どんな読み方をしても読めてしまうこの書。<P>優れた寓話(すなわち現代まで生き残る寓話)は、読み手によって<BR>その本質を変える。<BR>読まれる時代、社会、個人の境遇、すべてを映し出す鏡として、<BR>この書はこれからも読み継がれていくだろう。
これは恐ろしい話である。恐ろしいほどまでに絶望的な話である。政府が思想の弾圧を 行うのに、言葉を統制して人民を骨抜きにするためのあらゆる策略が詰まっている話である。 今は2000年で本書が示した世界は無いが、世界の様々な国では大なり小なり危険な統制が芽を 潜めている。平和な世界を維持するためにも必読の書であると思う。
権力は腐敗する、絶対権力は絶対に腐敗する。<P>しかし、腐敗するのではなく、権力が完全に集中し、<BR>それ自体が永久機関として完成したら。ということを<BR>予測し、その恐ろしさを体験させてくれるお話です。<P>ソ連もなき今、いまさらという感じの前半はやや冗長ですので、<BR>かるーく読み流してみるほうがいいかもしれません。<P>やや反共プロパガンダ的でアナクロに感じました。<BR>しかし、この本の根底にあるのは、全体主義への抗議ですから、<BR>後半部にその展開を読み取ることができます。<P>どの国の権力も、あらゆる手段で(かつ、この小説に書かれている<BR>よりももっと狡猾に)似たようなことはやっているはずです。<BR>この本に提示されているのは、そうしたことの一例というまでです。<P>それでも、!読む価値がありますし、やっぱり定番です。5つ星。