本作がクリスティーの独創なのかどうか。<BR>私はその1年前に発表されたJ・W・キャンベル,JrのSFホラー小説『影が行く』に何らかのヒントを得たのかもしれないと思っている。というのは構想に類似した設定が垣間見えたから。<P>この点に気付いたのは映画『遊星からの物体X』DVDドキュメンタリで監督J・カーペンターが原作(『影が行く』)は『そして誰も』風だと述べていた事だった。それで最近、両作品を自分なりに読み比べてみてそう思っただけである。<P>正体不明の犯人と登場人物同士の深刻な疑心暗鬼、一人ずつ殺される人々、深まる恐怖感。単なる偶然の一致かも知れない。しかし作品の完成度はシンプルではあるけどクリスティーの『そして誰も』に軍配を上げたい。<P>SFホラー映画の舞台設定はキャンベル以上にクリスティーの本作に無意識的な影響を受けているのではないだろうか?ホラー映画の常套設定と『そして誰も』の設定は一致するし、あるいは『そして誰も』はミステリの傑作と同時にホラーの原点かもしれない。<P姿を見せず、対象を一人ずつ確実に殺す手口。本作が本当にホラーの原点かどうか?その専門研究を知りたい所だ。私が調べた範囲では発見できなかったが…。<P>余談だがこの小説の事を最初に知ったのは、私が小学生の頃、TVアニメ『うる星やつら』のパロディー版を見て、その原作がクリスティーとの説明を読んだのがきっかけだった。<P>その後、ハヤカワ文庫は買ったがずっと積ん読状態だった。今回のクリスティー文庫版で再び購入し、ようやくこの名作を読破する機会を得られた。新版を出した早川書房に感謝したい。
東野圭吾氏の「白馬山荘殺人事件」を読んで、マザーグースの詩がこの本でも小道具として使われているのを知り、読んでみました。<BR>ずっと昔の書かれた本なのに内容が古くなく、面白いとは思うのですが、話の中頃から登場人物が足早に次々と死んでいき、正直言って少し、雑な書き方がされているような気がしました。<P>外国の本は、訳者の力で多少面白く訳せたりするのではないかと思うのですが、この本についてはどうなのでしょう?いつか原書を読んでみたいと思います。
アガサ・クリスティーのミステリー本です.<P>陸から離れた孤島に男女10名がそれぞれの理由で招待され、やがて過去の出来事などが明らかになり、次々に殺人事件が起こっていくという内容になっています.<P>私は近年のミステリーを読むようになってから、代表的な作家としての著者の名前を知ってこの作品を読んでみようと思いました.この作品を読んで思ったのはこの作品が以後の近年における他の様々な作家の諸作品の基本となっていることです.<P>私はミステリーに特別詳しいわけではないので、この作品以前にも似たような設定のものがあったのかどうかはわかりませんが、有名な著書の代表作ともされているこの作品が世にあたえた影響はかなり大きいものであったと思います.近年の作品で展開されている内容などはこの作品を参考に考えられていると思えるようなものが多くあります.よって、ミステリーが好きな方は一度この本を読んでおくと、それ以外のミステリーの本を読んだときにも興味が持てる部分が増えるのではないかと思います.<P>設定自体は同じような傾向の本がたくさん出ている現在では目新しいものではないのかもしれませんが、内容は非常に優れていると思います.