直木賞受賞という期待が大き過ぎた。 <BR> 前半、豆腐に対する並々ならぬ職人の情熱が感じられて、思わず豆腐を食べたくなったほどだった。が、後半に入り、子供たちの世代になってからは、どんどん御都合主義で進む。終盤に行くほど精彩が欠けていくと感じた。まぁ、最初っから御都合主義なところは見られたけれど……。<P> この作者はとても筆が上手い。一気に読ませる力がある。<BR> でも、なんだか小器用なんだな……。巧いけど、読了後に「う~ん…」と苦笑いをしてしまう。読んでしまったけど期待の消化不良だった。<P> 散らばした人物設定や伏線も、やや機能不全の気さえするのは寂しい。冒頭から年号を出す割りに、史実が大きく絡むところも無かったし、結局、主人公の上方の在所の話も臭わせ!けだったし。テーマを家族に絞るのなら、もっと掘り下げないと、表面をさらさらなぞるだけのような気にさえなった。<P> この話……別に江戸時代に設定しなくてもいいんじゃないの? <BR> それに、タイトルの「あかね空」だが、このタイトルにしなくてはいけない必然性が私には見えなかった。いかにも後からつけましたって感じだ。<BR> 人情ものが好きな人にはオススメですが……。
江戸は深川にある豆腐屋家族の人間模様を描いたものだが、まるで舞台が江戸時代ではなく現代ではないか?...と思わせるほど「時代小説」臭さが無い。途中、第一部の中盤辺りで退屈になる箇所もあったが、第一部終盤から結末にかけては一気に読んでしまった。さすが直木賞受賞作品だけのことはある。しかし、私のように集中力散漫でスリリングな作品が好きな向きには、同じ山本氏による「損料屋喜八郎始末控」のほうがオススメ。
心の底から溜め息のように「ええ話やぁ~」の声が出ました。<P>不器用な人間だからこそ,やっぱりコミュニケーション・会話は重要なんだなと痛感。