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| 蒼龍
(
山本 一力
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表題作「蒼龍」は第77回オール読物新人賞受賞作。<P> 借金返済のために、茶碗の絵柄の公募に挑戦する主人公が、山本氏と重なって見える。家族愛をテーマにする氏だけに、なかなかどうも説得力がある。しかも、この作品で新人賞を獲りデビューを飾ったというのだから、なおさらとも言えよう。着眼として面白いストーリイと、新人離れした語り口の良さは、氏の元来のセンスなのだと思わざるを得ない。<P> 落ちについては賛否両論だろうが、読者の想像にお任せ、という姿勢はニクイものだ。<BR> 私は「あかね空」を最初に読んでからこの作品を読んだのだが、都合良く(?)善人が出てきて主人公が助けられる、というのは氏の穏やかそうな人柄を感じる。つまり、山本氏は人が好きなんだな、という安心感を!み手に与えるのだ。
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