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| ジャスミン
(
辻原 登
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恋愛小説である。しかも最上の。<BR>神戸と上海を結ぶ二都物語でもある。時代と空間が官能的に結ばれる。<BR>そして、冒険小説でもある。二重スパイ、政治と恋愛がスリリングに描かれる。さらに、日中の現代史を背景にした歴史ロマンスでもある。天安門事件と神戸大震災が物語に重要な位置を占める。<BR>なにしろ面白い。文章が素晴らしい。主人公、中でもヒロインの中国人女性李杏(リーシン)の魅力的なこと、思わず溜息が出る。<BR>純文学でありながらこの面白さ。辻原登の実力は抜きん出ている。騙されたと思って読むべし。できるものなら「返金保証」したいぐらいである。
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