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| 空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか
(
ジョン・クラカワー
海津 正彦
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著者は1996年「アウトサイド」誌の取材のためにエベレストのガイド登山隊に参加した。物語は、進むにつれ徐々に高度をあげ、読者も8000mへと引っ張り上げる。まさに映画を見ているような臨場感で、登山隊が高山病に苦しむくだりでは息苦しさをおぼえ、「自分は安全な場所でただ本を読んでいるのだ」と言い聞かせなければならなかった。唯一の日本人参加者難波さんの非業の最期は圧巻である。神の高みで、この悲劇を引き起こしたのは、さまざまな人間のエゴであったのだ。この様な貴重な犠牲をはらっても、なお懲りない人間の浅はかさを痛感せざる得なかった。自然をあなどってはいけません。
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