ナンシー関大全 みんなこんな本を読んできた ナンシー関大全
 
 
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ナンシー関大全 ( ナンシー 関 )

 これまでに出版された本に、既に収録されているコラムの傑作選もあれば、未収録のコラムや対談、小説やマンガまで収録されている。<BR> 子どもの頃からの写真や、ご両親や妹さんの文章まで載っている。<P> コアなファンにはもちろんのこと、私のように、今さらながら、オンリー・ワンの消しゴム版画家であり、ナンバー・ワンのテレビ・ウォッチャーでもあったナンシー関のことをかじっておきたい、手元に残しておきたい、という人に、最適の本である。<BR> 彼女のコラムは、『悪口』と取る人もいるようだが、私には全然そうは思えない。<P> 赤ちゃんの頃、ご両親が家業に忙しかったため、ダンボール箱に入れられ、テレビの前にほうって置かれていたという。一歩間違えれば(間違えなくても?)虐待だ。(笑) そんな環境に育まれたのかも知れない彼女のテレビに対する感性は、確固とした価値基準を持っており、しかも決して独善に陥ることはない。<P> 私には、悪口に聞こえるギリギリの手前で、共感できる批評となっている。テレビがもっと、健全でおもしろいものであるために、テレビの見方、テレビ(番組)の作り方を、教えてくれていたのではないかと思う。<BR> この本は、ナンシー関の集大成であり、入門書でもあると思う。

平凡なコラムは表面的に時事問題を扱う。<BR>少し捻ったコラムは時事問題を避ける。<BR>ではナンシー関は?<BR>時事問題を扱いつつも、<BR>普遍的なものに迫ってみせるのだ。<BR>凄い。そこに面白味も加えるのだ、尚更だ。<BR>読み応え有りの本と言える。

ナンシーさんは鋭い視点などがよく取り上げられますが、僕が一番学んだのは彼女の文章からにじみ出る「謙虚さ」です。彼女の鋭い意見と論理的な思考はこの「謙虚さ」の賜物だと思います。だから、テレビで自意識を膨らませるような人達にはひときわ敏感でした。ナンシーさんは亡くなってしまいましたが、大月さんが言ったように、これからは僕の判断基準のために、あるいは謙虚さを失ったときの自分を戒めるために、ナンシーさんを心の中に宿すことにします。

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