ビルはなぜ建っているかなぜ壊れるか-現代人のための建築構造入門 みんなこんな本を読んできた ビルはなぜ建っているかなぜ壊れるか-現代人のための建築構造入門
 
 
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ビルはなぜ建っているかなぜ壊れるか-現代人のための建築構造入門 ( 望月 重 )

一般向けに書かれた建築構造の入門書はこれまでほとんどなかった。それだけでも本書の意義は大きい。著者は訴える―安全な建物をつくるには構造技術者と施主の間に共通の言葉と知識が必要である。建築技術が著しく高度化した現在ではそれはまったく欠けてしまったが、ぜひとも一般の人たちも教養として建築構造の基礎知識を持ってほしい―と。<P>本書では、荷重・外力、接合部の種類、材料、基礎、応力・変形など建築構造の基礎要素をほとんど数式を用いずに説明するのみならず、国立代々木競技場、東京カテドラル聖マリア大聖堂、静岡新聞放送ビルなどを引き合いに出して建築構造を鑑賞するポイントに触れる。また、構造技術者の社会的役割についても読者に理解を求める。<P>あえて欲を言えば、現在、高層!築の構造計算で注目を集めている限界耐力計算についても解説してほしかった。

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ビルはなぜ建っているかなぜ壊れるか-現代人のための建築構造入門&nbsp;&nbsp;&nbsp;災害やテロによって壊れた建物の姿を目にする機会がこのところ増えている。地震や台風によって無惨な姿をさらした建物の写真や、ジェット機が激突し崩れ落ちる衝撃的な映像などを見て、ふと身の回りにある建物が本当に安全なのか心配になることはないだろうか。本書はこうした不安に対して、建物の強度がどのようにして保証されているのか教えてくれる。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;建物の安全を保障するために欠くことができない建築構造力学の初歩的な知識が簡潔にまとめられている。構造力学がどのような仮定によって成り立ち、どのような数学によって個々の建物の必要な強度が確定されているのか、そしてどのような技術によってそれが具体的な建物として実現されているのか、建築構造力学の扱う範囲がまんべんなく提示されている。その反面だれにでも気軽に読める本かと言えば少々疑問は残る。工学的な素養がある程度なければ、その解説を逐一理解しながら読み進めることはおそらく困難であろう。高度に発達したひとつの専門分野であるから致し方ないことだとはいえ、本書で取り扱われる内容のすべてが、一般の読者にとって関心を持てる話題であるか、あるいはまた実生活に結びつく有用な情報であるかと言えば、必ずしもそうではないだろう。この程度の内容をひととおりしっかり把握していれば、ことによると建築実務でも結構通用してしまうかもしれない。本書が扱うのはそういう範囲にまで及んでいる。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;しかし、医療におけるインフォームド・コンセントの一般化と同様に、建築の分野でも建物がどのような性能を持つべきか、建築主と設計者が情報を共有する取り組みが始まっている。こうした流れにおいてこれから建てる建物がどのようなグレードであるべきか、建築主の判断が求められる機会は今後増えていく傾向にあるだろう。本書の意図もこうした背景において、専門家以外にはなかなか分かりにくい構造力学を咀嚼(そしゃく)して説明することにあるのだが、なかなかバランスは難しい。コンパクトに建築構造力学を総覧できる本として類書が少ない1冊だが、一般向け書籍としてはややハードルが高いかもしれない。(日埜直彦)
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