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| 翔ぶが如く〈5〉
(
司馬 遼太郎
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得てして巨悪の塊、冷酷な人物としての印象が強いように見受けられる大久保利通の、政治家としての能力の卓越、外交官としての胆力が見られる。中国との外交交渉において、国家元首かのように、超法規的活躍をみせるが、その交渉を成功裡に治めてしまった結果、国内の反政府分子の不満を増長させてしまった政治の難しさ。<P> 外交官として、政治家として、国際政治にあたる者に不可欠な胆力を、大久保利通は保持していた。<BR> 西郷隆盛の親友、または敵としてでなく、有能な政治家としてもっと肯定的な評価を得てしかるべき人物である。
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