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若きサムライのために ( 三島 由紀夫 )

三島のエッセイや対談を集めた本です。確かほぼ年代順に並べてあったので、三島の危機感や切迫感が次第に高まっていくのを一緒に感じとることができます。ページが少なくなるにつれて「ああ、死んじゃう…」と辛くなる、生々しい記録になっています。写真よりもよっぽど肉薄した内容。今の世の中をすべて当時見通していたことがわかり、襟元を正すきっかけになった本です。今からでも遅くありません(特に永田町の皆さん)、潔く、凛々しく生きようとしてください。三島先生はちゃんと認めてくれますよ?

三島の講演会などを集めたものだと思いますが、彼の先見性には舌を巻きます。<BR>色々なものをテーマに(勇者、作法、肉体、信義、快楽、羞恥心、礼法、服装、長幼の序、文弱の徒、努力・・)語っていますが、全て三島節で、今の時代にこういうテーマをそういう切り口で語れる人はいないと感嘆してしまいます。<P>口語体で読みやすいので、三島文学がとっつきにくかった人には大のお奨めです。今こうして推薦文を書きながら読み直していますが、三島節炸裂という感じ。痛快です。 三島が残した哲学というか本質的に訴えたかったものを、我ら「若きサムライ」は受け継いでいかねば成らぬと感じたりもします。

本書は三島由紀夫が自決する一年前に刊行された最晩年の本です。<BR>若い読者を想定して書かれただけあってとても読みやすく、三島がまだ見ぬ若者達に、シニカルに、時にユーモアをまじえながら、熱っぽく『日本』を語る三島由紀夫の姿に、私は今では失われてしまった真の日本人の姿、誠の日本人の心を感じて、読んだあと身が引き締まる思いがしました。<P>そしていくつかある『若きサムライのための精神講話』の中でも、特に読んでいてドキッとしたのが、『文弱の徒』についてというエッセーでした。自分にもこんな時期がなかったとはいえない。そして今も、こんな『目』をしている人はいないだろうか? いや、今の時代ではこういう『目』をした若者も随分少なくなってきているのではないのでしょうか? !そう思うと何だか複雑な気持ちがします。<P>『日本人』や『日本』に対して自信喪失をしている人は、三島由紀夫のこの真っ直ぐな視線が眩しく感じられるかもしれません。でもこれを読み、三島の視線をあえて直視することで、私達が忘れかけていた日本人としての誇りを快復し、日本の素晴らしさを再認識できるはずです。まさに三島版『プロジェクトX』(!)。福田和也はあとがきで、三島の『自決』の謎について考えてみてほしい、と言うようなことを最後に書いていますが、私は三島のあの事件については作品を読む際には考えずに、全ての作品(小説を含めて)を虚心坦懐に愉しむべきだと思っています。お茶漬けは、ただのお茶漬けとして当たり前のようにおいしく味わうように、三島由紀夫の作品も、自決作家三島!紀夫としてではなく、一人の優れた作家三島由紀夫として読まれるべきだと個人的には思っています。(もちろん私も読み始めの頃には、三島の『最後の行為』に対して色々と思いを巡らせたりしました^^)それにしても私の三島熱は、まだまだ終りそうにないなぁ…。

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