石丸節、炸裂です。<P>覚せい剤使用による実刑は免れたものの、執行猶予でほとんどの海外にいけない筆者を迎えてくれる国、それが北朝鮮だった。旅のきっかけは「ぶっ飛べる」上モノのヤク「平壌ハイ」を求めて、というものだがなんとなくこれはメタファーなんだろうな、と読み進むうちに気づく。そう、「主体思想はディズニーランド」など、今回も独自の視点から、北朝鮮に対する鋭い考察がポップでキレのある文章で、押し付けがましくなく読者にしっかり届く仕掛けに。ぜひご一読を!
キーワードは「平壌ハイ」。<BR>テポドンよりも高くとべる驚異のブツ。<P>ヤクよりたちの悪いクレイジーな国、北朝鮮。<BR>そこへ麻薬所持で逮捕歴のある著者がハイになるために行くのだ。<BR>さらに個性豊かなツアーの仲間たち。<BR>ここまで舞台と役者がそろえば真っ当なトリップに終わるわけがない。<P>どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションか。<P>幻覚のように境界が定かでない。<BR>たまに幻覚から醒めたかのように真面目に語る時もある。<BR>それも重要でないのだろう。<BR>なにしろ北朝鮮といえばバッドトリップしているのだから。<P>冗談めかした文体で北朝鮮の哀しい現実を描写する。<BR>本当の悲劇は喜劇ににしかならないという事実を見ることができる。