城山三郎の小説は学生時代はとても親しんだが、実際に社会人となって企業に勤めだしてから、おもしろさが半減した。<BR>一種のロマンであり賛歌であるため、甘ったるく感じるのだ。<BR>人物伝として、本書は評価できるが、美化されすぎているように感じられる。
城山三郎の作品では『臨3311に乗れ』に衝撃を受け、それから数年後に本書を読みましたが、『臨3311に乗れ』と同様、寸暇を惜しんで読みました。<BR>確かな人物を確かな取材の裏打ちによって描く鮮やかな人間描写は、やはり城山三郎の作品に共通するものがありました。<P>この、石田禮助という三井物産社長から国鉄総裁になった稀有な人物を、私は初めて本書で知ることが出来ました。<BR>それも、まるで友人からその親しい知人を紹介してもらったかのように。<P>それは『臨3311に乗れ』と同様、「こんな痛快な日本人がいたんだ!」という共通の感想を興奮を以って伝えたくなるような衝動をすら覚えるほどに、素晴らしく楽しい経験(読書)でした。<P>松下幸之助や本田惣一郎を口角泡を飛ばすかのよう
偶然テレビで見た城山三郎の対談に興味を持ち、初めて読んだ作品がこの本だった。しばらくまともに本を読んでいなかった私でも、すらすら読める文章に加え、深い内容を伴っている。日本にも、この世から姿を消してしまった後でさえも、存在感を残せる人が居たことを教えてもらった一冊。