どこかしら心のバランスが保てなくなり(という表現が適切かは?ですが)事件を起こすに至る子供の心情や過程が読みとれるかと期待して読みました。そこから作者の表現したかったものとは違ったのかなと思いますが。。。<P>子供の心がなぜ残忍な事件を起こすに至ったのか?弟の心情を辿っていく経緯で明らかになるかと思いきや外的要因へと話が向かっていく。ではその外的要因の心情の経緯が読み取れたかというと正直深くは読み取れませんでした。<P>弟の人格形成に何かしらの関わりがあったであろう両親の心の葛藤もあまり見えてこなかった。私自身が現実の事件とダブらせすぎたのか、読後は少し不完全燃焼な感じでした。
子どもの頃の胸の痛みを思い出した。<P>つらい事や悲しい事があって、それに真正面から向き合っていた頃。<BR>もう耐えられないと思っても1日1日は過ぎてゆき<BR>いつしか理不尽さをいなして生きるすべを身につけた今。<P>理不尽な人生に真っ向から立ち向おうとする主人公の少年と<BR>それに共振する仲間。<BR>仕事に疑問を抱きつつ少年の立場を思う若い新聞記者<P>少年犯罪という重いテーマが作者独特の切り口と軽快な語り口で語られ<BR>泣き笑い、のち勇気&希望。<P>幾重にも考えさせられる内容の濃い本です。
4つの目を通して描写される1つの悲しい事件。犯罪を犯してしまった少年の兄が家族として苦しみ、兄として事件の根っこを掘り進めながら成長していく様子を。もう一方では事件を報道するメディア側として、一人の新聞記者が少し離れた視点で事件全体を映し出しています。最初から最後まで重い題材を引きずる中で、それでもどこか優しさに包まれながら読み進めていける作品です。少年犯罪が増加の一途をたどる今だからこそ、読んでおきたい一品かもしれません。