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| 沈黙の王
(
宮城谷 昌光
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表題の物語は、殷(商)の中興の祖高丁が、中国最初の文字である甲骨文字を生み出していく経緯を描いた物です。<P> その他をあわせた短編集なのですが、后げい(弓の名手)、褒似などを主人公に、かなり中国史の中でも神話に近い部分を取り扱っています。その意味で作者のイマジネーションで溢れ返っています(完全に歴史小説ではなく、神話小説の域に入っています)。歴史的事実からは離れてフィクション性がずっと強い物になっています。<P> それだけに謡のような文章が多く、この作者の作品の中でも難解な部類に入ると思います。しかし、本当に中国の歴史の幽玄に触れられる作品です。非常に奥が深い、何度読んでも飽きることのない小説群です。
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