著者の経歴に沿って内容は進行するが、情報参謀という立場から大東亜戦争の最中に軍で何が起こっていたかを詳述してある。一般に戦史といえば、作戦や戦闘についての著作が多い中、情報という観点は非常にユニークであり、そういう意味でも貴重な本だと思う。私は、大東亜戦史として非常に興味深く熟読したが、同時に、軍における情報参謀の役割を、会社や官庁における調査部と置き換えても読めると思った。ともすれば、日陰者になりかねない調査という作業が、実は営業や実務執行に非常に重要な役割をになっているのであるという事実を再確認したのである。サラリーマン諸氏にもお薦めできる内容であり、文庫でこの価格である。即買いして読んで欲しい。
敵を知ることは重要であるが、ことが戦争となると、国家の存亡がかかってくるのでその重要性は一段と増す。本書の筆者はこの難しい仕事に挑み、「マッカーサーの参謀」という異名をとるまでになる。なぜそこまで正確にマッカーサーの意図を知ることができるようになったのか。このあたり本書の白眉といえる。地理・地勢、それまでの米軍の作戦行動など、あらゆる情報を集め、分析することで「飛び石作戦」の本質を掴んだのである。この本質を掴んだ上で、現在米軍がとっている偵察行動などを地道に分析するので、次の行動が予測できるというわけである。これほど正確な情勢判断が作戦に活かされなかったのは、返す返すも残念で仕方がない。
情報収集を怠り、戦略が無く行き当たりばったりの経験だけでの行動。<BR>これが現在の日本企業の低迷の大きな原因であろう。<BR>経営者ビジネスマンはこの本を読むべき。何をしなければならないかがわかるだろう