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| 『陰陽師』読本―平安の闇に、ようこそ
(
夢枕 獏
)
全てを読み終えて、改めてタイトルを見つめる。<BR>誰もがやっている事だとは思うけれど、その時に高揚感に似た、満ちた思いを抱いてしまうようなものは、数少ないと思う。<BR>大げさに言ってしまえば、まさにこの本はその中に入るのではないだろうか。<P>夢枕獏氏の「陰陽師」の全構想を告白するような晴明と博雅の関係や心情。それに基づいているであろう、「陰陽師Ⅱ」の原案二稿。さらに「陰陽師」を語るに欠かせないであろう、ゲスト陣との対談の数々…。<P>ただ欲を言えば、夢枕獏氏×野村萬斎氏の対談が惜しいところ。<P>「陰陽師Ⅱ」の原案後の項と言う事もあって、テンションが高かっただけに期待をしていたのだが。<BR>あるものの書き起こし的内容に、思わず苦笑い。<BR>せめて、未公開部分があったなら。欲が働いてしまった。<BR>その欲で正確には、星4つ半になる。<P>しかしこの本は、平安時代が好きな人にはたまらない一品になるだろう。<P>またそうでもない人も、まるで「真昼の月」のような、どこかしら気になる存在になるのではないだろうか。<P>千年の年月が、この一冊でグッと身近に感じる。
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