95年2月に発覚したベアリングズ銀行のリーソン氏も井口氏とまったく同じように損失を隠し口座に隠し続けることで泥沼に嵌っていったわけですが、結局、上司の機嫌を考えると「損切り」ができない職場環境・人事制度(減点主義)と、システム上しなくてすむような会社のルールのゆるさ、監査体制の甘さが問題なんだなぁと改めて感じました。まさに、起こるべきして起こる事件とはこのことなのでしょう。<BR>なぜ起こったのか、なぜすぐに処理ができなかったのか、その当時どのような精神状態だったのかなど、張本人しか書くことのできない内容でグイグイ引き込まれる面白さです。<P>金融関係のお仕事をなさっている方は特にお読みになるといいと思います。また、投資・投機をなさっている方がお読み!になると「早めの損切り」の重要性が身に染みます(笑)
銀行員は固い、1円でも勘定が狂えば死にものぐるいで探す、と言った従来の銀行のイメージが180度変わる本であるし、80年代の日本経済の虚栄を国際展開した金融機関の側面から計り知ることが出来る。日本の会社というのは、護送船団行政のぬるま湯の中で適当なことをやり続けてきたのかをこの本はつくづく教えてくれる。これを読んだらかなり多くの人は銀行業を志す気を失うだろう。<BR>井口氏の自己弁護的な部分が鼻につくというのも解るが、大和も大和なりの反論をしてくれれば、第3者として井口氏の主張を評価できる。しかし、ない以上、これだけ達筆に言われると井口の意見にある程度納得する。
大和銀行事件の発覚が1995年。<BR>それから、数年経った現在、この本を読み直す価値は大きい。<BR>筆者が文中で書いている通り、国際派は追いやられ、国内派主導による改革が行われたようだが、結果として、それは大和銀行の不良債権問題を増大させただけに過ぎなかった。<P>井口の自己弁護が鼻につくが、事件に陥った過程は誰にでも陥る罠であり個人と組織との関わり方で苦しんでいるサラリーマンには読む価値はきわめて高い。