中丸さんの文章は、品のないおふざけが過剰で、これまでも彼の他の著作は途中で投げ出してしまうことが多かったのですが、この本はそうした戯言がなぜか抑え気味で、好感が持てたといえます。<P> スペインの暮らしにまつわる文化を幅広くとりあげて、あの陽光あふれるラテンの国の息吹を楽しく伝えている本です。ちゃんと足で歩いて感じとったことを、きちんと調べた歴史的ないわれと併せてほどよくバランスのとれた形で構成している姿勢が、単なる外国批評本に終わらない良書を生んだ理由のひとつではないでしょうか。
この本は、スペインならどこにでもあるバル、街、カフェ、レストラン、ホテル、広場、地下鉄やタクシー等の交通機関の様子について描写したものです。<P> 私もスペインには行ったことがありますが、この本を読むたびに当時の様子が思い出され、懐かしく思うとともに、あちこちで笑えました。将来再びスペイン旅行をするときには、この本は会話集などとともに必携であると感じました。<P> また、スペインにこれから行こうとしている人は、飛行機の中で一読し、予習をすることも悪くないと思います。ただし、著者独特のアクの強い文体のせいもあり、実用書ではなく、あくまでも読み物として「星4つ」であることをことわっておきたいと思います。