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| 翔ぶが如く〈10〉
(
司馬 遼太郎
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全10巻という長丁場の終焉に来て、なにやら最初のころに比べ著者の西郷隆盛はじめ桐野利秋に対するトーンが冷ややかになってくる。豪胆・爽快な男としつつも桐野も最後は「単なるテロリスト」呼ばわりだし、「会った人でなければわからない西郷の大きさ・人望」も所詮会ったことがない著者はじめ読者にも、虚像か英雄か判定がつきかねる、というところが正直な結論だろうか?西郷は幕末動乱を駆け、維新回天をなし、武士の無用な世の中を作った。西郷の生涯の最後の仕事は行き場のない武士たちを死地につかせることだったのか・・。<P>西南戦争の終盤、西郷、薩軍幹部たちの死。圧巻の最終巻ですが、読後感は複雑です。この一大叙事詩をどう表現したらよいか適当な言葉が浮かばない。
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